2014年12月30日火曜日

アングン再び ★ ANGGUN / Little Things (2002年)


 アングンの曲で大好きな曲「Little Things」のことを書きかけては、下書きのまま過ぎてしまいました。インドネシアの国民的スターであるアングンは、フランス人のご主人と結婚され今はフランス国籍だそうです。「フレンチポップス」とは?漠然と云えば「フランス語」或いは「フランス人」が歌う曲なのでしょう。アングンはアルバムの中で、フランス語曲もあれば、英語曲もあり、また母国のインドネシア語で歌った曲もあります。

 人々のアイデンティティを考える折に、しばしば私の想いが複雑になるのは、人がある時点で国籍を変えることになったとしても、決して母国と決別したわけではないのだということです。なので、国際的には英語曲が最も伝わりやすくとも、敢えて母国語で歌う人達も多い。いくら世界的名声を得たとしても。そんな人達が好きでもあります。例えばアイルランドを代表する国際的歌姫であるエンヤは母国のゲール語を愛し母国語で歌う。その国々の伝統や歴史の中で培われたものがあり、それらは情操として表現される。世界中が英語曲ばかりになったら面白くもなんともない。わが国もいつの日にか公用語が英語になる日が近づく気配も無きにしも非ず。フランスはフランス語を守って頂きたい。私達も日本語を守りたいものです。異文化を愉しみながら。


 アングンの「Little Things」という曲はデンマーク映画の『しあわせな孤独』のエンディングで流れる曲です。この映画はスサンネ・ビア監督の2002年の作品で、デンマーク映画の革命児の如きラース・フォン・トリアー監督がビヨークを起用した、かの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の影響も強い、所謂「ドグマ映画」と呼ばれる手法を用いたものでもあり、アングンはこの制作に共鳴した様です。この映画『しあわせな孤独』でのもう一人の主役とでもいうべきアングンの歌唱はただただ素晴らしいのです。原題は『Open Hearts』ですがこの邦題がとても好きです。そして同時に考えさせられます。「しあわせ」とは?「孤独」とは?なんだろうと。私個人は共にこれらの言葉に肯定的です。そして、アングンの抑えた歌唱、表現力に共鳴し救われる気がしたものでした。

デンマークを代表する俳優であるマッツ・ミケルセン演じるニルスの人生の転落ぶりが悲しくも生を映し出していると想える映画なのですが、アングンのこのエンディング曲の持つ意味はあまりにも大きいのです。映画のサウンドトラックの醍醐味を想います。重い映画ゆえに、好き嫌いの分かれる作品だと想いますが、古い映画を好む私が2000年代以降に観た中で、とても心に残る映画の一つです。「しあわせ」や「孤独」は私の人生と片時も離れはしない。でもそれが人生なのだと受け入れながら生きています。小さな幸せに気づかないだけで、そおっと傍に居たりする。足元にあり見えないだけなのかもしれない。


 そんな事を考えながら生きています。明るい性格なのですけれど。『しあわせな孤独』の予告編をyoutubeより共有させて頂きます。台詞の言語はデンマーク語です。


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